+--[34]故郷をたずねる旅・5--+ |
雨は続くが休むわけにはいかない。えんちゃんは黙々と運転を続ける。
最後の目的地は無錫(Wu2 xi1)。大哥が住んでいる町である。
以前大哥は上海の公安だった。えんちゃんとは年がずいぶん離れていて
特別仲が良い、というわけでもなく、公安を辞めて無錫へ移ったことを
私が知ったのもそんなに古い話ではなかった。
大哥は頭の回転の速い人で、いわゆる賢い人であるがゆえに、
いろいろなことを考えるわけだが、適度にバカ(寛容)になれない人間は
人の上に立ち続けることが難しい。彼も苦労している様子であった。
ちよちよはここでいとこの欽ちゃんに会えるかと楽しみにしていたようだが
行った先は大哥の事務所だったので会えずじまい。
大哥が社員さんに何かを命じていたのだが、それは私達へ持たせるために
無錫小籠包を買いに行かせるためだったようで、たくさんの小籠包を
お土産にくれた。大哥とみんなの関係はあまりよく無く、そのお土産も
あまり喜ばれていないようだったので、なんだか大哥がかわいそうに思えたが
これまでの彼のことを知る限り、それも仕方ないことなのかな、とも思った。
けれど、彼は彼なりに家族のことを思っているのだろう。
いつか雪が溶けて春が訪れることを祈るばかりである。
私はふと大阪の弟妹を思い出した。人に「つー弟妹は本当に仲がいい」と
よく言われて、そうかな〜?と思っていたが、そうなのだろう。
ありがたいことである。
天気が悪いので観光というわけにもいかず、皆も相当に疲れているので
さあこれで上海へ帰りましょう、とまた高速へ。
出だしはそうでもなかったのだが、事故の影響があったり
大型車が多く走っている影響で渋滞が始まり、一歩も先へ進めなくなってしまった。
運転手はニ哥に交替。
私達の後ろでは時折鶏が羽をばたつかせている。そう、箱から羽が出てしまったのだ。
足を縛られているので自由に歩いたりはできないのだが、
元気の良い一羽が箱から出たり入ったり。早く上海に着いてほしい。
結局夜20時頃になってようやく上海に着き、公公宅で麺を食べて解散。
ありがたいことに鶏は公公が首をしめてくれることになった。
行ったり来たり走りまわり、上海-泰興-揚州-無錫-上海の総走行距離は
800キロ弱にもなった。そのほとんどが車中での時間であったものの、
上海以外の親戚に会えたことや、公公と阿婆の郷へ行くことができて
とても有意義な旅となったことは間違いない。
なんやかんやいいつつもしっかり仕切ってがんばってくれたえんちゃんに感謝。
(2004/05/03)
伯公宅の厨房から |