+--[6] 二胡は紙袋の中に--+

 上海旅行で絶対手に入れたいものがあった。旗袍(qi pao)? とんでもない、二胡(er hu)だ。
私は南京東路にある上海民族楽器一廠へ行った。
とにかく何がよいやらわからないし、店にも楽器が雑多に置かれているだけなので、
ふと目についた安そうなやつを指差して買った。 なんにせよ、二胡を手に入れて私はゴキゲン。

 早速部屋へ帰って弾いてみるが、ギシギシ音がするだけで何のことやら。
丸紅のお兄さんが、胡弓はとても難しいから弾けない、琵琶くらいにしておいた方がいい、と
アドバイスしてくれていたことを思い出すが、それでも私は琵琶ではなく二胡が欲しかったのだから仕方ない。

  嬉しがってベッドの上に置いて写真を撮った。
この紙袋、手に持って歩いているうちによれよれになってしまうのだが、このまま大阪へ連れて帰ることになる。

 食事は巨大な海苔スープにこりたので、外でいろいろ買って食べることにした。

包子を買いたいのだが、当時は糧票(liangpiao=雑穀購入券)がないと買えなかったので、
言葉のできない私は手に入れるのに苦労した。

 あれはいつなくなったのだろう。

 ジュースは粉末ジュースのようなアヤシイ味のオレンジジュース、
それも瓶売りしていても冷えていない。オーダーするとそこにストローをさして渡してくれる。
ホテルに戻ればポットがあるので、お茶が飲み放題だが、外での飲物には苦労した。

 トイレは外でするのは大変だと本で読んでいたのでできるかぎりホテルで済ますようにした。

 慣れればあっという間、帰りたくなくなるほどに時間は過ぎていった。

次へ [7] 謝謝儂、上海。 へ続く。